老化と性本能

2016/07/02

  満95才の瀬戸内寂聴さんの脳細胞は20歳代と変わらぬエネルギーを産生し続けているようです。
しかしこれは寂聴先生にのみ特殊な能力ではなく生理学的には人間はこの年齢でも同じ能力を有してる事の証明ですね。
 個人ごとに先天的な細胞機能には格段の差があります。
 中年期に脳梗塞などで血流量が低下すれば、はかり知れない影響を脳細胞は慢性的に受けます。このような突然のイベントによる器質的な変化でなく年齢を重ねた老化過程の血管の障害程度は環境により大きな変化を受けます。
一方、アルツハイマー型の脳機能障害の存在が多くの人々を悲劇に追いやってる現実はご承知のとうりです。
 寂聴さんが人間として最も優れた脳細胞の持主の一人である事に間違いありませんが、それにしても90代の現役作家として30代の爛熟した大人の恋愛,官能小説を書き上げる脳力には驚かされます。まあ男性ホルモンの影響もあるでしょう。
 広く芸術分野を眺め渡すと100才を越えてもその才能を発揮し続けている方は珍しくありません。一つの事に打ち込む事が脳細胞を常に活発に刺激し続けるからです。
 寂聴さんの脳幹内に存在する性中枢の神経細胞と少量の男性ホルモンと同時に女性ホルモン分泌刺激ホルモンは24時間休まず働いてるのではと推測できます。小説を書く作業はこのような実質的な物質の力を借りなくても大脳皮質の細胞がホルモン枯渇をしっかりと代行していると考えられます。
人間と言う生物は死の直前まで性欲を失わない生物なのです。
 日常さりげなく普通の生活をおくっている超高齢者の脳細胞から、男,女を意識する信号が活発に発せられている事に思いいたしましょう。

 この性本能を生み出す脳細胞は環境因子の積み重ねを受けて変化し、個人ごとに大きな差異が見られます。社会生活を基盤に生きる人間である以上これは避ける事の出来ない現象です。

 寂聴さんのご活躍を見てると性本能の保存と維持が肉体的老化自体をも予防しているのが良く理解できます。

 おおよそ40年前、作家立花 隆氏の著書『アメリカ性革命」と言う本を読みました。読んだ内容はおおかた忘れてしまいましたが以下の内容は未だによく覚えています。

『アメリカの田舎町に住む老夫婦の話である。既に夫婦とも80才を過ぎていた。その老夫婦は毎晩ワイオミングの大草原の草叢に寝転び、満点の夜空、そこに輝く無数の星屑を眺めて毎度交わりをかわすと。そしてそうした行為のあと、何時召されてもいい、今、大変幸せであると天の神に感謝の気持ちを捧げている』
 
なかなかに含蓄に満ちた文章ではありませんか。
人間は幾つになっても異性を求める願いあるいは欲望すら確実に存在してると結論ずけてもいいようです。